~自己破産とは~

自己破産とは、返せなくなった借金(負債)を免責、つまり、借金をチャラにしてもらうための手続きのことです。

破産手続きには「管財事件」「同時廃止事件」の2種類があります。
今回は、同時廃止事件について紹介します。

「同時廃止事件」とは、破産の手続き開始の時点で破産者の財産が少ない場合に行う手続きです。

破産の手続きは、お金に換えられる財産はお金に換えて、それを債権者に平等に分配し、それでも返しきれない場合に借金をチャラにしてもらうという仕組みになっています。
そして、破産者の財産を換価・分配する役割を担う人のことを破産管財人といい、破産手続き開始時に裁判所から選任されます。破産管財人が選任され、財産を換価・分配する破産手続きを管財事件といい、これが本来の破産手続きとなっています。
しかし、換価・分配する財産がない場合は破産管財人が選任されず、手続き開始と同時に終了し、あとは免責が許可されるのを待つことになります。
この手続きを同時廃止事件といいます。同時廃止事件は、開始決定が出されてから免責許可決定が確定するまでの約3か月で終わり、比較的簡易な手続きで破産することができます。

手続きの流れ

次に、主に大阪の裁判所を念頭に、自己破産(同時廃止)の流れを紹介します。

①弁護士に相談

まず初めに弁護士に相談し、破産したい旨を伝えてください。手続きを行う上で問題となる点や、費用などについて打ち合わせをしてから契約します。

②受任通知の送付

弁護士が、債権者に受任通知を送付します。これにより、債権者からの連絡・取り立てがなくなります。

③書類の準備

弁護士が準備する書類以外にも、依頼者様にも財産に関する書類(通帳や家計簿など)を用意してもらう必要があります。

④申し立て

準備した書類を裁判所に提出します。裁判所から補充・訂正の指示があればそれに対応します。

⑤破産手続開始決定・同時廃止決定

同時廃止事件の場合は、手続きが開始と同時に終了します。

⑥免責許可決定

負債を免除します、という決定が下されます。
破産手続きに関しては、各裁判所によって運用が異なる場合があります。お住まいの地域の裁判所の手続きについて知りたい場合は、地元の弁護士さんにご相談ください。

免責とは!?

自己破産の申し立てをする最大の目的は、借金・債務について「免責」を得ることです。借金を免除してもらうためには、裁判所から免責を許可してもらう必要があります。
しかし、免責許可決定が出たとしても、すべてが免除されるわけではありません。借りているお金や事業で負った負債は原則としてすべて免責されますが、税金や国民保険料など公的なお金に関しては破産の手続きを行っても免責されず、分納してでも払っていかなければなりません。他にも、養育費などについても免責されないため、弁護士に相談する際は借りているお金だけでなく払わないといけないお金があるかどうかも含めてご相談ください。

免責不許可事由とは!?

手続きを行ったからといって、どのような場合でも免責の許可が受けられるわけではありません。ギャンブルによる借金や財産の隠匿、浪費など、一定の事由がある場合には免責が許可されないことになっています。この免責が不許可になってしまう事由のことを免責不許可事由といいます。
しかし、免責不許可事由がある場合でも、裁判所が破産者の事情を考慮して、免責を許可するだけの相当な理由があると判断すれば、例外的に免責が許可されます。この制度を裁量免責といいます。実際には、免責不許可事由がある場合でも、ほとんどの場合が裁量免責によって許可されるため、免責不許可事由に該当する行為があったからといって、破産手続きを諦めてしまう必要はありません。

自己破産のデメリット

①破産後の数年間は新たに借り入れすることができず、ローンを組んだり、クレジットカードを作成したりする際に審査が通らなくなる

破産した場合、そのことが信用情報機関に記録されるため、審査が通りにくくなります。
しかし、借金を返済できていない時点で滞納していることが返済状況として記録されるため、破産をしてもしなくても、ネガティブな情報が記録されます。また、時間が経つことで情報は更新され、古い情報は消えていきます。そのことを考えると、大きなデメリットではないと思われます。

②官報に掲載される

官報に名前や住所が掲載されるため、自分が破産の手続きを行ったということが他の人に知られる可能性があります。しかし、実際には一般の人が官報を目にする機会はほぼありません。

③破産手続き中は一部の資格が必要な職業について就くことができなくなる

一部の職業の人は、破産手続き中は資格が停止してしまうため業務を行えなくなります。もし職業が該当してしまっていて、資格を停止させることを避けたい場合は、他の債務整理の方法もあります。

これらのことを考えると、破産によるデメリットはそこまで大きなものではないと思います。また、これらのデメリットに対して、「借金の返済から解放されることで、借金に対するストレスをなくした状態で再出発することができる」という大きなメリットがあります。

一刻でも早くストレスから解放された状態で再出発を果たしていただくことが大切かと思うので、できるだけ早めに弁護士にご相談ください。