免責不許可事由とは?

破産手続きを行う最大の目的は「免責許可決定」を得ることにあるといえます。

 「免責(めんせき)」とは,破産者が,債権者に対して負っている債務(借金)の支払いを免れることをいい,裁判所がこれを許可する決定を出すことにより,破産者は,債務(借金)の重圧から解放されることになります。

 しかし,法律では,ある特定の事由に該当する場合には免責を許可しないと規定されており,このある特定の事由を「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」と呼んでいます。

 具体的には,収入に見合わない浪費・ギャンブルが原因で借金をしていたり,特定の債権者にだけ優先的に返済を行っていたり,返済の見込みがないとわかっていながら嘘をついてお金を借りたりするなど,破産債権者を害するような行為や,破産手続き中の裁判所が行う調査に非協力的ないし虚偽の説明を行なったり,破産管財人の職務を妨害したりするなど,破産手続きにおける破産者としての義務に違反するような行為や,過去に破産手続きによって免責の許可決定を受けたことがあるなど,破産という制度の趣旨に沿わないことを理由とするものがあります。

 一般の方でも,浪費やギャンブルで作った借金の場合は破産できないとか,騙してお金を借りたり財産を隠していたりすると破産できないといったことを耳にしたことがあるかもしれませんが,これらは免責不許可事由に該当するということを意味します。

 

「裁量免責」について

 では,上で述べたような免責不許可事由に該当する行為(事由)があったからといって,まったく免責を許可される余地がないかというと,そういうわけではありません。

 免責不許可事由に該当するとしても,裁判所が破産者の事情を考慮して免責を許可するだけの相当な理由があると判断すれば,裁判所の裁量により免責を許可することがあり,これを「裁量免責」と呼んでいます。

 そして,現実にも免責不許可の決定が下されることは稀であり,債権者を害する行為が極めて悪質であることや,裁判所や破産管財人に非協力的ないし虚偽の説明をする,職務を妨害するなど,破産者としての誠実さに欠けることや,再建後の生活設計を見直す努力を怠るなどの事情がない限り,裁量免責が認められる可能性は高いように思います。

 

まとめ

 「仕事帰りや休みの日にパチンコやスロットに行く」という人や,「毎週休みの日には競馬場へ出かけている」という人でも,破産手続きを諦めてしまう必要はありません。

 これら以外の理由でも「どうせ破産できない」と諦めてしまい,いつまで経っても元本が減らない利息の返済のループから抜け出せない方は,一人で悩みを抱え込んでしまわないで,是非一度弁護士へお気軽にご相談ください。

 

(2017年3月29日 執筆)